エネファームを採用しなかった3つの理由

家づくり

我が家では給湯器をエコキュートにするかエネファームにするか悩みました。

エコキュート電気でお湯を作る。仕組みはエアコンの暖房と同じで、効率よく電気からお湯を作ることができる。オール電化家庭ではエコキュートが採用されます。

エネファームガスで電気とお湯を作る。いわゆる燃料電池であり、ガスを使って発電する。発電する際に高温になることを利用し、お湯も同時に作ることが可能。

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エネファームって?|エネファーム パートナーズ
エネルギーをムダなく使い、エコな暮らしをエネファームが実現します。エネファーム パートナーズは住宅における省エネルギーを推進するため、家庭用燃料電池エネファームの普及推進を行う任意団体です。

結果的にエネファームは採用せず、エコキュートにしましたのでその理由をまとめたいと思います。

1.エネファームは初期費用、ランニングコストいずれも高い

これが最も大きな理由です。

4人家族で平均的な家庭を想定し、光熱費を計算してみました。
また、ガス設備は給湯のみとしました(コンロはガスコンロではなくIHとした)。
細かい数字は以下に記載します。興味のある方はご覧いただき、ない方は飛ばしてください。

前提

種々単価

契約プランによって単価は異なりますが、ここでは使用量に単純比例するとし、以下単価を採用しました。売電単価については太陽光発電由来の電力エネファームが発電する電力の2種類がありますので、それぞれに対して単価を設定しました(大阪ガスの場合で仮定しています)。

電力単価 28.4円/kWh 都道府県別リスク込みでも得する太陽光発電の選択法と運用法
ガス単価 122円/m3 GAS得プラン スマート発電料金
売電単価
(太陽光発電)
17円/kWh 2022年度固定価格買取制度単価
売電単価
(エネファーム)
10.7円/kWh 大阪ガス 余剰電力買取について


エコキュート仕様

エコキュートは電気からお湯を作りますが、その効率が高いです。
4のお湯を作るのに1の電気で可能です(エアコンの暖房と同じヒートポンプという仕組み)。

エネルギー効率 4 Panasonic エコキュート年間給湯保温効率
初期費用 40万円 我が家の見積もり。本体費用のみ。

エネファーム仕様

エネファームはガスを使用してお湯(給湯)と発電も行います。
ガス1m3当たり、6.1kWの発電と3.5kWの給湯が可能です。エネルギー効率でいうと87%となります((0.7kW+0.431kW)/1.3kW=87%)。

ガス消費量 1.3kW Aisin エネファームtypeS 製品情報
  0.115m3/h 都市ガス低位発熱量40.6MJ/m3より年間ガス量に換算
日本冷凍空調学会高位発熱量と低位発熱量
発電 0.7kW Aisin エネファームtypeS 製品情報
給湯 0.431kW Aisin エネファームtypeS 製品情報
自家消費率 50%vs年間使用電力量 年間使用電力量の内50%分を賄えるとした。
Nifty電気 電力節約のマメ知識
初期費用 95万円 我が家の見積もり。本体費用のみ。

太陽光発電仕様

容量 4.5kW 平均的な容量として4.5kWとした。
2021年度の4.5kW住宅用太陽光発電の年間発電量と売電収入はいくら?
年間発電量 5553kWh/y 容量1kWあたり年間1234kWh発電すると仮定。
太陽光発電に向いている地域とは?
自家消費率
(エコキュート)
30% エコキュートの場合、発電量の内30%が自家消費されると仮定
自家消費型太陽光発電のすすめ
自家消費率
(エネファーム)
15% エネファームの場合、発電量の内15%が自家消費されると仮定(エコキュートの半分)。
エネファーム使用時はエネファーム自身の発電が自家消費に優先的に使用されるため、太陽光発電は売電が多くなる(自家消費率が低くなる)

家庭内消費エネルギー量

オール電化家庭を基準とすると、年間のエネルギー消費量は6586kWhで、そのうち979kWhが給湯に、残り5607kWhが給湯以外に使用される計算となります。

年間エネルギー消費量 6586kWh オール電化住居4人家族年間光熱費15588円÷電力単価28.4円
オール電化世帯人数別の電気代平均額
給湯    
 1日当たりの給湯 460L 4人家族エコキュート460Lモデル想定。
エコキュートの容量は家族の人数で決めよう!
 昇温幅 20℃ 水温20℃→お湯40℃に昇温すると仮定
 比熱 4.2kJ/kg・K 水の比熱
 1日給湯熱量 38640kJ/day 460L/day×20℃×4.2kJ/kg・K (水は比重1で仮定)
 年間給湯熱量 3918kWh 38640kJ/day=10.7kWh/day=年間3918kWh
 消費電力量 979kWh 年間給湯熱量/エコキュートエネルギー効率
給湯以外    
 消費電力量 5607kWh 年間エネルギー消費量-給湯消費電力量

計算結果

以下に計算結果をまとめます。

結果、年間光熱費はエネファームの方が9000円安いという結果になりました。
この差はどのように考えるべきでしょうか。

我が家のエネファーム見積は95万円(機器費のみ)、エコキュートは40万円(機器費のみ)でした。
その差55万円。これを年間0.9万円で割ると機器費の差が埋まるのは67年エネファームの寿命を20年と考えると長すぎます。

ゆえに我が家ではエネファームにコスト的な優位はないと考えて採用を見送りました。

  エコキュート エネファーム  

年間消費電力
kWh

6586 5607 エコキュート:オール電化住居4人家族平均
エネファーム:エコキュートでの消費量6586kWhー給湯の消費量979kWh
年間消費ガス
m3
0 1048 年間給湯熱量3918kWh÷エネファーム給湯0.413kW×ガス消費量0.115m3/h=1048m3
購入電力
万円/年
18.7 15.9 年間消費電力×電力単価
購入ガス
万円/年
0 12.8 年間消費ガス×ガス単価

①購入電力&ガス
万円/年

18.7 28.7  
       
発電       
 太陽光
 kWh
5553 5553 容量4.5kWでの想定年間発電量
 エネファーム
 kWh
0 6363 年間消費ガス量1048m3÷エネファームガス消費量0.115m3/h×エネファーム発電0.431kW
自家消費      
 太陽光
 kWh
1666 833 発電量×自家消費率
 エネファーム
 kWh
0 2804 発電量×自家消費率
 ②メリット
  万円/年
4.7 10.3 自家消費量×電力orガス単価
売電      
 太陽光
 kWh
3887 4720 発電-自家消費
 エネファーム
 kWh
  3559 発電-自家消費
 ③メリット
  万円/年
6.6 11.8 売電量×電力orガス単価
       
total 万円/年 7.4 6.5 ①-②-③
差  万円/年 0.9  

ガス会社もコスト的なメリットがなるべく出るように、様々な施策を講じています。

例えば、ガス使用量に応じてガス単価を安くするプランを用意したり、エネファームの発電も売電できるようにしたりしています。

実際ガス単価を100円/m3にすれば光熱費の差は3万円近くになります(今回はガス使用量に応じて122円/m3を採用しました)。これであれば機器費用差が埋まるのに18年の計算となります。

しかし、この場合18年間、売電価格が維持されている計算となっています。

太陽光の売電価格は10年間固定でその後は安くなります。

11年目以降は積水ハウスであれば、2022年現在11円/kWhで買い取ってもらえます。ただし、これまでの傾向から今後さらに10年たてばその価格は下がると考えるのが自然です。

よって将来的に売電価格が下がることを考えると、エネファームのメリットはますます小さくなります。

積水ハウスオーナーでんき


2.エコキュートの方が太陽光発電と相性がいい

1つ目の理由に通じますが、エコキュートの方が太陽光発電と相性がいいです。
エコキュートのソーラーチャージャーという機能を使えば、天気のいい日は太陽光発電で給湯を行います。

上述したように、売電価格17円/kWhは買電価格28.4円/kWhより安いです。

つまり、前提としてなるべく自家消費し売電には回さない方がコスト的にはメリットがあります。
自家消費率を上げる方策としてソーラーチャージャーは魅力的です。

一方、エネファームの場合、給湯するにはガスを購入することになるので、太陽光発電の自家消費にはつながりません。しかも、エネファームは給湯と同時に発電し、その電力を太陽光発電の電力よりも優先して消費するため太陽光発電の自家消費率はさらに低下してしまいます。

自家消費が少なくなっても、最初10年は固定買取制度で高く売電できますが、その後は売電できても安くなります。
よって、エネファームだと特に固定買取制度後は自家消費率を上げることが難しくなります。

3.コンロはIH希望であり、ガスが必須ではなかった

我が家ではその掃除のしやすさから、IHコンロを希望していました。

ゆえに、ガスを使用したい機器が少なく、ガスが必須ではありませんでした。

オール電化の方が光熱費が一本化でき、ガスの基本料金&工事費用もかからないため、オール電化(エコキュート)を選択しました。

まとめ

エネファームはガス会社が力を入れています。
しかし、上記計算でわかるようにエネファームは結局光熱費が高くなる可能性が高いです。

繰り返すようですが、特に固定買取制度後の運用を考えると選択しない方が賢明でしょう。

これは私が個人的に行っている計算ですので、誤りや指摘があればコメントください。

エネファームを採用するかで迷われている方がいれば参考になれば幸いです。

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